日本臨床外科学会雑誌
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Staged laparotomyにて救命し得たIIIb型肝損傷の1例
秋元 寛冨士原 彰小林 正直西村 東人
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1999 年 60 巻 5 号 p. 1361-1365

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抄録
日本外傷学会分類のIIIb型肝損傷に対し肝右葉切除とガーゼパッキングにて2期的に手術を行い救命し得た症例を経験した.症例は28歳,女性で交通事故にて受傷した.来院時循環動態は安定していたが,その後急激に血圧低下し緊急手術を行った.術前CTにて肝右葉に広範なIIIb型肝損傷を認めており肝右葉切除術を行ったが,術中coagulopathyの出現にて肝切離面にガーゼパッキングを施行した. ICU帰室後も出血が持続しintra-abdominal hypertensionの状態となったため再開腹したが,出血は中肝静脈根部からであり,肝切離面はほぼ完全に止血されておりガーゼパッキングは有効であった.重症肝損傷に対する手術療法でdamage control surgeryの考えからガーゼパッキングを用いたstaged laparotomyが推奨されており,本症例に適応し有効であった, Coagulopathyに陥った症例では早期にガーゼパッキングに移行することが重要である.
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