抄録
Barrett食道に発生した食道表在腺癌の1例を経験したので報告する.症例は47歳女性.検診の内視鏡検査にてBarrett食道を指摘され当院紹介された.逆流症状はまったく存在しなかった.内視鏡検査では門歯より35cmから胃噴門部にかけて全周性に,ルゴール不染のBarrett上皮が連続し, 37cmの部位に径2cmの陥凹性病変を認めた.食道造影ではIm領域に粘膜不整像を認めたが,食道裂孔ヘルニアは認めなかった. Barrett食道腺癌の診断で右開胸開腹,食道亜全摘術を施行した.病理組織検査では高分化型腺癌,深達度mの早期癌で, Barrett食道より発生したものと診断された.