1999 年 60 巻 7 号 p. 1846-1849
症例は51歳男性.右下腹部痛と血尿を主訴に近医を受診し精査を行うも尿路系に異常なく保存的に経過観察されていた.その後症状を繰り返すため当院泌尿器科を紹介されたが,炎症所見,腹痛が悪化したため腹膜炎の診断にて当科紹介入院となった.腹部超音波検査,腹部CT検査にて回盲部に線状高信号領域を認め,病歴聴取と考え合わせて魚骨による限局性腹膜炎と診断し準緊急手術を施行した.虫垂は回腸末端とともに膀胱壁と強く癒着しており,摘出標本上,魚骨は虫垂根部近傍から漿膜外へ穿通したものと思われた.術後経過は良好であり20日目に退院となった.
魚骨による消化管穿孔は手術により診断されることが多いが詳細な病歴聴取とCTおよび超音波検査により術前診断が可能となるものと思われた.