日本臨床外科学会雑誌
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鼠径ヘルニア嵌頓と診断した陰嚢内脂肪肉腫の1例
笠巻 伸二佐藤 輝彦
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1999 年 60 巻 7 号 p. 1914-1916

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抄録

鼠径ヘルニア嵌頓と診断した陰嚢内脂肪肉腫の1例を経験した.症例は73歳,男性. 1998年1月頃より左陰嚢部の腫大を自覚していたが放置していた.初診時,左陰嚢内に比較的弾性硬の有痛性腫瘤を触知した.明らかなヘルニア門は触知できなかったが,超音波検査・CT検査より大網が鼠径管を通して陰嚢内に嵌頓した状態と診断した.腸管の嵌頓や絞扼の所見を認めなかったため待機的に手術を施行した.しかし,鼠径管を開放しても明らかなヘルニア嚢を認めず,陰嚢内容を脱転させると精索や精巣とは別に脂肪腫様の腫瘤を認め,周囲組織から容易に摘出しえた.病理組織学的検索ではwell differentiated liposarcoma, lipoma like type. と診断された.

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