2000 年 61 巻 2 号 p. 426-431
われわれは肝外発育性肝血管腫の1例を経験した.症例は58歳,女性.腹部に腫瘤を指摘され当院を受診した.腫瘤が可動性をもち振り子様に左右へ移動することがあった.腹部超音波検査や腹部CT検査により肝外発育性の腫瘍であることが判明し, CT検査においては振り子様の動きが確認された.腹部血管造影検査では肝外側区域枝,および内側区域枝の支配領域に肝血管腫特有の綿花様濃染像を認めた.振り子様の動きによる破裂や亀裂の危険性が懸念されたため手術を行った.切除標本の大きさは14×11×4cm,重さ480gで,病理組繊学的には肝海綿状血管腫の所見であった.肝外発育性肝血管腫の報告は比較的稀であり,調べ得た限りでは本邦29例目である.