日本臨床外科学会雑誌
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硝酸の大量服用による広範な腐蝕性消化管障害の1例
宗村 忠信塩野 恒夫関下 芳明藤森 勝押切 太郎寺本 賢一宮本 正樹大竹 節之加藤 紘之
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2000 年 61 巻 4 号 p. 1070-1074

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抄録

酸・アルカリなど各種化学薬品の誤飲もしくは自殺企図による服用は上部消化管を内腔より腐食し,しばしば重篤な経過を呈することが知られている.われわれは硝酸を服用したために食道,胃,十二指腸,空腸,さらに胃穿孔のために腹膜までに腐蝕性変化をきたし治療困難な症例を経験した.
症例は49歳男性,職業は宝石加工業.自宅で硝酸約100cc (推定)を服飲後,激しい腹痛を主訴に当院集中治療室へ入院,緊急手術となった.胃全摘,膵頭十二指腸切除,空腸を切除.膵管,総胆管,空腸断端はいずれも外瘻とし,食道下端は縫合閉鎖した.第17病日,多臓器不全のため死亡した.

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