日本臨床外科学会雑誌
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乳腺管状癌の1例
鈴木 一則広岡 保明貝原 信明竹本 大樹佐藤 尚喜
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キーワード: 乳癌, 管状癌
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2000 年 61 巻 5 号 p. 1164-1168

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抄録

乳腺の管状癌は,特徴的な組織像を呈する乳癌で,その発生頻度は稀である.特にpure typeの管状癌ではほとんどリンパ節転移が認められず,予後は良好とされている.今回われわれは,リンパ節転移を伴ったpure typeの管状癌の1例を経験したので報告する.症例は55歳,女性で,左乳房腫瘤を主訴に受診した.マンモグラフィーにてspiculaを伴う腫瘍陰影を認め,穿刺細胞診では悪性と診断できなかったが,生検組織診にて管状癌と診断された.乳房切除術およびリンパ節郭清術を施行した結果,腋窩リンパ節転移を伴うpure typeの管状癌と最終診断された.以上より,管状癌ではpure typeでもリンパ節転移がみられることがあるため,通常の浸潤癌と同様に扱う必要があると思われた.

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