日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌術後に孤立性脾転移を生じた2例
桑原 史郎畠山 勝義多田 哲也
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キーワード: 大腸癌, 脾臓転移
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2000 年 61 巻 5 号 p. 1287-1292

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抄録

大腸癌術後の孤立性脾転移の2例を報告する.症例1:76歳男性.上行結腸癌にて結腸右半切除を施行した. 22ヵ月後,孤立性脾転移と診断し脾臓摘出,膵部分切除を施行した.術後25ヵ月後の現在,局所再発を有するも生存中である.症例2:74歳男性.上行結腸癌にて結腸右半切除を施行した. 12ヵ月後,孤立性脾転移にて脾臓摘出,膵尾部切除を施行した.術後5ヵ月の現在,無再発生存中である.症例1, 2共に大腸癌と脾腫瘍の組織型が同じであった.大腸癌術後の脾転移は稀であり本邦報告例では30例であった.脾転移は初回手術後1年以内に生じるものが多く,初回手術時すでに脾臓への微小転移が存在している可能性もある.また予後は良好とは言えず,脾転移に対する手術に加え,全身病と考えた上での集学的治療が必要と考えられる.

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