2000 年 61 巻 6 号 p. 1482-1486
症例: 53歳,男性.主訴:腹痛.既往歴: 22歳および29歳時に腸閉塞にて腸切除,その際, Peutz-Jehgers (P-J) 症候群と診断.家族歴では兄,娘および姪がP-J症候群.理学所見では腹部は軽度膨満,圧痛を認め,口唇粘膜に色素沈着を認めた.腹部CTにてtarget signが認められ,腸重積と診断され,減圧目的にてlong-tube挿入.小腸造影では,小腸全域にわたって径10mmから30mmの有茎性ポリープが多発.手術所見では,空腸の2箇所で重積を起こしており,重積部を切除し,残存腸管内に径5mmから3mm大の有茎性ポリープを無数に認めたため,一期的切除は困難と判断し,空腸瘻を造設.術後,同部より内視鏡を挿入し,頻回のポリペクトミーにて可及的にポリープを切除した後,腸瘻を閉鎖埋没し退院.今回われわれが用いた方法は患者のQOLを維持し,ポリープの再発にて腸重積を来した際,開腹せずに治療でき, P-J症候群に対する治療法として有用であると考えられる.