日本臨床外科学会雑誌
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膵漿液性嚢胞腺腫の1例
根上 直樹三橋 宏章織畑 道宏畑 真森脇 稔掛川 暉夫
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2000 年 61 巻 6 号 p. 1562-1566

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抄録

今回われわれは非機能性膵島腫瘍の診断で手術を施行し,術後に漿液性嚢胞腺腫の診断を得た1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.検診目的の腹部超音波検査で膵体部に約1cm大の腫瘤を指摘され,精査目的に通院.腫瘤は造影CTで濃染され, MRIではT1で低信号, T2で高信号を示し, Gdで濃染された. ERPでは膵管系に異常所見なく, EUSでは低エコーに描出された.入院後の血管造影検査では腫瘍濃染を認めた.血液生化学および内分泌学的に異常所見なく,非機能性膵島腫瘍の診断で平成10年3月23日,膵体尾部切除術を施行した.術後,病理組織学的に漿液性嚢胞腺腫の診断を得た.近年,画像診断の進歩や検診の普及により,嚢胞性膵腫瘍の検出される機会が増えている.膵腫瘍の鑑別診断に漿液性嚢胞腺腫を念頭におくべきであると思われる.

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