日本臨床外科学会雑誌
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大腿ヘルニア症例の検討
吉井 一博里 輝幸赤木 重典
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キーワード: 大腿ヘルニア, 診断, 嵌頓率
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2000 年 61 巻 7 号 p. 1693-1697

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抄録
1987年4月から1999年3月までに当科で経験した大腿ヘルニア症例30例を対象とし,臨床的検討を行った.平均年齢73.2歳,男女比は2:28で,高齢の女性に多くみられた.主訴は鼠径部膨隆など局所症状23例,イレウス症状4例,他症状3例であった.部位は右側18例,左側10例,両側2例であった,診断は全て身体所見によりなされた.他症状例,両側例の片側は受診時に鼠径部の触診により診断された.嵌頓は5例(16.7%)に認め,緊急手術もこの5例に施行された.うち2例に腸管壊死を認め,この2例に腸切除併施を要した.腸切除例の1例に創感染の術後合併症を認め,創治癒が遷延した.嵌頓症例は非嵌頓例より術後在院日数が長かった.大腿ヘルニアは高齢の女性に多く,日常診察で注意を払うことによって,嵌頓を防ぐ努力をすべきである.
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