日本臨床外科学会雑誌
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新生児胃奇形腫の1例
今泉 了彦岩中 督新井 真理
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2000 年 61 巻 8 号 p. 2002-2007

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抄録

奇形腫は小児では比較的頻度の高い疾患であるが,胃に発生するものは稀である.著者らは出生直後から著明な腹部膨満,呼吸困難を呈した新生児胃奇形腫の1例を経験した.本邦では52例目の症例である.
症例は日齢0, 男児.在胎39週6日,頭位自然分娩,出生時体重3,624g. 出生直後から腹部膨満が著明で,呻吟,多呼吸などの呼吸困難がみられた.心窩部から骨盤に至る巨大な腫瘍があり,超音波検査, CT検査では大小不同の嚢胞構造と不規則な充実性部分,石灰化巣の散在など多彩な像を呈した.上部消化管造影は,腫瘤による胃内腔の前方への圧排を示した. MRI所見は後腹膜臓器の圧排のみで腫瘍の後腹膜由来は否定的であった.
生後7日に胃の一部とともに536gの腫瘍を摘出した.病理組織学的には悪性像はなく未熟奇形腫であった. 6年後の現在,再発はなく発育は良好である.

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