日本臨床外科学会雑誌
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腸閉塞を来し外科的切除を要したmultiple lymphomatous polyposisの1例
大橋 真記竹中 能文城戸 啓高橋 常浩池田 謙
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キーワード: 腸閉塞
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2000 年 61 巻 8 号 p. 2123-2127

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抄録

Multiple lymphomatous polyposis (以下MLP)は比較的稀な疾患である.われわれは,腸閉塞を来し,外科的切除を要したMLPの1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,腹痛・嘔吐を主訴に来院し,腸閉塞の診断で緊急入院となった.大腸内視鏡検査で,回盲部から結腸にかけて多発性隆起病変を認めた.生検組織所見で非ホジキンリンパ腫と判明した.手術施行時,回腸末端の腫瘍を先進部とする腸重積とリンパ腫のび漫性脾浸潤を認め,回盲部切除と脾臓摘出術を行い,術後,残存病変に対して化学療法を施行した. MLPは進行期で発見されることが多く,予後不良である.治療は化学療法が主体となるが,腸閉塞や腸重積のため時に手術が必要となる.成人の原発性腸閉塞や腸重積の原因として, MLPを含めた悪性リンパ腫を念頭に置く必要があると思われる.

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