日本臨床外科学会雑誌
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小児S状結腸軸捻転症の2例
大塚 恭寛吉田 英生松永 正訓菱木 知郎大沼 直躬
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2000 年 61 巻 9 号 p. 2381-2385

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抄録

比較的稀な小児S状結腸軸捻転症(以下,本症)を2例経験したので報告する. ‹症例1›腹部膨満を主訴とした12歳女児で,腹部単純X線と注腸造影にてS状結腸過長症に合併した本症と診断した.全身状態が良好で腹膜刺激症状を認めなかったため,大腸ファイバースコープによる内視鏡的整復を施行した.しかし, 1年後に捻転の再発を来したため,待機的にS状結腸切除端々吻合を施行した.術後7年の現在,経過良好である. ‹症例2›腹痛を主訴とした9歳女児で,腹部単純X線と注腸造影にて本症と診断した.全身状態が不良で腹膜刺激症状を認めたため,緊急開腹を施行すると,過長なS状結腸が腸間膜根部を軸に時計軸方向に360度捻転して壊死に陥っていた. S状結腸を切除の上,一期的吻合を避け,両断端を腸瘻とし, 3カ月後に端々吻合を施行した.術後2年の現在,経過良好である.

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