日本臨床外科学会雑誌
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局所再発・遠隔転移を繰り返し,不幸な転帰をとった乳房adenomyoepitheliomaの1例
内田 靖子本田 宏小池 太郎笠島 武
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キーワード: 乳腺腫瘍, 遠隔転移
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2882-2887

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抄録

乳腺腺筋上皮腫(adenomyoepithelioma: AME)は比較的稀で一般的には良性の腫瘍といわれている.今回われわれは局所再発・遠隔転移を繰り返し不幸な転帰をたどった61歳女性の症例を経験したので報告する.この症例は1989年頃より右乳房の創のやや上方にしこりを自覚していたが放置. 1997年3月同腫瘤に痛みを伴うようになったため当院受診.腫瘍摘出生検を施行し, adenomyoepithelioma: AMEの病理診断を得た.半年後の同年9月局所再発をきたし,再度腫瘤摘出を行った. 1999年1月両側下肺野に転移を認め両側胸腔鏡下肺部分切除術を施行した. 1999年7月胸部CTで右肺切除断端近傍に4cm大の腫瘤を認め,再々発を強く疑った.再切除を検討したが残存肺機能が悪く,この時点での手術は困難と判断し,経過観察となった. 2000年4月肺炎を併発し,入院.同年7月1日呼吸不全のため永眠された.
本邦ではこれまでにAMEの遠隔転移・死亡例の報告はなく,本症例がはじめての報告となる.

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