日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
抗human T-lymphotropic virus type-1(HTLV-1)抗体陰性の胃原発T細胞リンパ腫の1例
須田 健鈴木 敬二伊藤 一成鈴木 和信芹沢 博美小柳 泰久
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 62 巻 2 号 p. 381-386

詳細
抄録

稀有な抗 human T-lymphotropicvirustype-1(HTLV-1) 抗体陰性の原発性胃T細胞リンパ腫の1例を経験したので,本邦の17報告例とともに検討した.症例は67歳,男性.上腹部不快を訴え来院した.胃精査で胃体~前庭に2型の腫瘤を認め,生検で悪性リンパ腫と診断した.CTで局所リンパ節の腫大を認めた.抗HTLV-1抗体は陰性であった. 胃全摘, 脾摘, 肝部分切除, D 3 郭清を行てった. 組織学的にはびまん, 混合型,表面形質はCD20-,CD3+で,CD4+,CD8-のT細胞リンパ腫であった.術後6カ月および11カ月に頸部リンパ節に再発したがCHOPおよび次世代多剤併用化学療法でそれぞれ寛解して,術後22カ月生存中である.
症例は報告例と対比すると,ほぼ平均的な臨床病理学的所見を示していた.報告群には病期IIE(Ann-Arbor),胃切除例が多いが,6,12,24カ月生存率はそれぞれ85.7,62.9,62.9%で,この病期では胃切除,術後化学療法が治療選択と思われた.本群の治療指針,予後判定因子などを明確にするために,さらに症例の集積が必要であろう.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top