日本臨床外科学会雑誌
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術前CT検査が有用であった大網裂孔ヘルニアの1例
松橋 延壽梅本 敬夫近石 登喜雄
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2001 年 62 巻 4 号 p. 1055-1058

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抄録

腹腔内ヘルニアは比較的稀な疾患であるが,中でも大網裂孔をヘルニア門とする大網裂孔ヘルニアは極めて稀な疾患である.本症は理学的所見に特有なものがなく,術前診断は極めて困難であり開腹時に診断できることが多い.今回われわれは,術前CT検査が有用であった大網裂孔ヘルニアの1例を経験したため報告する.症例は93歳女性.腰痛症にて当院整形外科に入院していた.突然嘔吐,腹痛を認めたため外科転科となり,胃管挿入にて経過観察としていたが,腹痛軽減しなかったため腹部CTを施行した.横行結腸の腹側に小腸の拡張像および腸間膜の集東像を認め,開腹既往のないことから大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し,緊急手術施行したほ開腹すると, Treitz靱帯より約50cmの空腸が直径5cmの大網裂孔に30cmの空腸が嵌入していた.嵌入した空腸は壊死していなかったため,大網裂孔を含む大網を一部切除したのみで手術終了し,術後30日目に退院した.

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