日本臨床外科学会雑誌
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外科切除と抗癌剤感受性試験に基づく癌化学療法が奏効した大腸癌の肝・肺転移の1例
九野 広夫谷村 弘山本 基谷 眞至山上 裕機
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2001 年 62 巻 4 号 p. 977-982

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抄録

症例は68歳の男性で14年前に直腸癌の診断で腹会陰式直腸切断術を受け, 1998年3月には異時性重複癌として横行結腸癌に対する横行結腸切除術および小腸部分切除術を受けた.手術所見はSi, N2 (+), P0, H0; Stage IIIbで, 3カ所で小腸への直接浸潤を認めた.術後の腹部CTで肝S6とS7にそれぞれ2.5cmのSOLを認め,同年8月肝後区域切除術を施行した. 1999年6月にはCEAが719ng/mlと高値をなし,腹部CTで残肝のS5とS8にそれぞれ1cmと5.5cmのSOLを認め,右副腎浸潤を疑わせる所見を呈した. 7月12日肝前区域切除術および右副腎切除術を施行した.
その後,胸部CTにて右肺野および胸壁に多発性の腫瘍が見つかり, 1999年12月右胸壁部分切除術および右肺部分切除術を施行し,肉眼的にはtumor freeとした.
その間,切除癌組織を用いて抗癌剤感受性試験を4回行い,その結果に基づいた癌化学療法をそれぞれ行った.初回手術から2年8カ月が経過した現在,再発や転移を認めていない.

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