2001 年 62 巻 4 号 p. 988-991
患者は55歳,女性.膣内部しこり感を主訴に近医受診し精査加療目的に当院入院,諸検査にて直腸Rb前右側,いわゆる直腸膣中隔に粘膜下腫瘍を認めた.経肛門的に生検を施行しgastrointestinal stromal tumor (GIST) と診断した.性,排便機能の温存を考慮し手術は経膣的に腫瘍摘出術を施行した.病理学的にはHE染色では紡錘形細胞が密に交差し増生しており,各種免疫染色にて, GIST, uncomitted type, malignantと診断した.術後10カ月現在再発の兆候はない.直腸原発GIST症例は患者のQOLを考慮した術式の選択が必要と思われ,そのためにGISTの新たな分類に基づいた臨床病理学的性格の解明が必要と考えられる.