日本臨床外科学会雑誌
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インターフェロン治療後8年目に診断された肝細胞癌の1例
飯田 拓世古口 務山本 敏雄中村 菊洋櫻井 洋至伊藤 史人
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2001 年 62 巻 6 号 p. 1492-1496

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抄録

症例は69歳男性. 1992年C型慢性肝炎に対しインターフェロン (IFN) 治療を施行され,トランスアミナーゼは持続正常化,血中HCV-RNAも持続陰性化し,著効した.治療前後の肝組織像も新犬山分類F3A2からF2A1に改善した. 1995年までの画像検査では異常を認めず,以後患者の自己判断にて診察が中断されていた. 2000年著効8年後肺気腫にて他院通院中,軽度の肝機能障害を指摘.各種検査にて肝右葉の12cm大の肝細胞癌と診断され,肝右葉切除術を施行した.組織学的には中分化型肝細胞癌で,併存肝病変はF1A0であり,相対的非治癒切除であった. IFN治療著効後肝細胞癌本邦報告例を検討すると,約半数が治療後3年以内に肝癌が診断され,また肝線維化の高度な症例ほど短期間に肝癌が発現していた.画像検査で発見不可能な前癌病変や微小癌が存在することがあり, IFN治療著効例でも肝癌発現に留意し,継続的な定期診察が必要と考えられた.

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