日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
キックスケートで転倒し病院前心肺停止に至った小児肝破裂の1例
森脇 義弘伊達 康一郎長谷川 聡内田 敬二山本 俊郎杉山 貢
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 62 巻 7 号 p. 1701-1705

詳細
抄録

キックスケート(車輪付きデッキ,シャフト,ハンドルバーから構成される遊戯具)による肝損傷で病院前心肺停止状態(CPA-OA)となり救命しえなかった症例を経験した.症例は, 9歳,男児,同遊戯具で走行中転倒しハンドルバーで右側胸部を強打.救急隊現場到着時,不穏状態で呼名に反応せず,血圧測定不能,搬送途中呼吸状態,意識レベル悪化,受傷後約30分で当センター到着, CPA-OAであった.腹部は軽度膨隆,右肋弓に6mmの圧挫痕を認めた.急速輸液,開胸心臓マッサージにより蘇生に成功した.肝破裂と腹腔内出血の増加,血液凝固異常,著しいアシドーシスを認めた.胸部下行大動脈遮断し,救急通報後78分,搬送後46分で緊急手術を施行した.肝右葉の深在性の複雑な破裂損傷に対しperihepatic packing,右肝動脈,門脈右枝結紮術を施行,集中治療室へ入室したが受傷後約15時間で死亡した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top