日本臨床外科学会雑誌
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診断に難渋した巨大な嚢胞状胃GISTの1例
堀 亮太新村 篤史中川原 寿俊野手 雅幸澤崎 邦廣藤田 秀春
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2002 年 63 巻 11 号 p. 2674-2677

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抄録

症例は57歳,女性.平成13年1月頃より上腹部の腫瘤を自覚し当院を受診した.入院時の現症では表面平滑で可動性のある直径15cmの腫瘤を触知し,腹部CTでは,胃,膵,脾を圧排する巨大な腫瘍が指摘され,腫瘍周囲には著明な血管の増生が認められた.消化管内視鏡上,粘膜の異常は認められず,超音波内視鏡でも壁の層構造は保たれていた.血管造影では左右胃の大網動脈が腫瘍の栄養血管と推察された.以上より大網や胃,膵などが原発の腫瘍が疑われ手術を施行した.術中,腫瘍は左右の胃大網動脈の合流部付近より発生しており,腫瘤の極一部でのみが胃の前壁に付着しているため,胃よりもむしろ大網原発の腫瘍と考え腫瘍の切除のみを行った.摘出した腫瘤は3kgの巨大な腫瘤で嚢胞性の内容と腫瘍性の周辺部が混在するものであった.組織学的に,胃原発の腫瘍と考えられ,免疫組織染色によりGISTと診断された.

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