日本臨床外科学会雑誌
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小腸壊死をきたした結節性多発動脈炎の1例
仲 至永吉川 澄江本 節藤川 正博藤井 眞川野 潔
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2002 年 63 巻 11 号 p. 2697-2700

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抄録

症例は33歳,女性.心窩部痛および右下腹部痛にて近医受診し,保存的治療を行うも症状の改善を認めないため,当科紹介となった.発熱と炎症反応の亢進,右下腹部痛および圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.保存的治療にて症状は改善したが,再び症状の増悪をきたしたため手術を施行した.術中所見では,骨盤腔内の小腸が非連続性に広範囲にわたって壊死に陥っており,小腸切除を行った.病理学的所見として結節性多発動脈炎による小腸壊死と診断した.
結節性多発動脈炎は多彩な全身症状をきたすが,急性腹症を呈し開腹手術にまで至ることは稀である.急性腹症で発症し小腸壊死をきたした1例を経験したので報告する.

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