日本臨床外科学会雑誌
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直腸脱,子宮脱を合併した虫垂腹膜偽粘液腫の1例
角 賢一安宅 正幸谷口 健次郎佐藤 尚喜岡 淳夫村田 陽子衣笠 陽一浜副 隆一
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2002 年 63 巻 3 号 p. 746-749

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抄録
症例は, 83歳,女性.腹部膨満,直腸脱,子宮脱を主訴として紹介入院となる.精査にて腹膜偽粘液腫による直腸脱,子宮脱と診断し,手術を施行した.腹腔内には,ゼラチン様物質が充満,虫垂先端は著明に腫大し穿孔部を認めた.可及的にゼラチン様物質を除去し,虫垂切除,子宮附属器を摘出し,直腸固定術,膣縫縮術を施行した.病理組織学的検討にて,粘液嚢胞腺癌と診断された.長期間の腹膜偽粘液腫によるゼラチン様物質の貯留が直腸脱,子宮脱の一因と推測された.術後経過順調にて退院した.腹膜偽粘液腫は再発,再燃する可能性高く,厳重な経過観察が必要であると思われる.
直腸脱,子宮脱を合併した腹膜偽粘液腫は,われわれが検索する限り現在までに報告例はなく,極めて稀な例と思われる.本症例に文献的考察を加え報告する.
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