胃とともに横行結腸が脱出した巨大な滑脱型食道裂孔ヘルニアを経験したので報告する.症例は70歳,男性. 1999年4月頃より腰痛を訴え整形外科にてコルセットを装着していた.しかしその後,次第に嘔気,嘔吐を伴うようになり近医にて精査の結果食道裂孔ヘルニアの診断のもと胃管挿入され経過観察となった. 8月下旬症状の軽快を認め退院となるも同症状の再発を認め当科紹介となった.胸部CT, MRIにて胃および腸管が縦隔内に嵌入しており,食道裂孔は著明に開大していたため,巨大な滑脱型食道裂孔ヘルニアと診断した.手術は食道裂孔を縫縮した後にNissen変法のfundoplicationを施行した.術後経過は良好,逆流性食道炎も改善し術後32日目に軽快退院となった.