日本臨床外科学会雑誌
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腹膜再発結腸癌に対しpharmacokinetic modulating chemotherapyが有効であった1例
小山 基稲葉 行男林 健一大江 信哉神尾 幸則渡部 修一
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キーワード: 結腸癌, ダグラス窩転移
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2002 年 63 巻 6 号 p. 1486-1490

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抄録

結腸癌術後ダグラス窩腹膜転移に対しpharmacokinetic modulating chemotherapy (PMC)を施行し, 2年経過して根治切除が可能であった1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.平成8年11月上行結腸癌に対し結腸右半切除術を施行(中分化腺癌, se, n2, stage IIIb).平成11年10月CEAの上昇に伴い直腸指診でダグラス窩転移が疑われ,平成12年1月経肛門的に腫瘤生検施行し,高分化腺癌の診断を得た.ダグラス窩腹膜再発に対しPMCを週1回外来通院で施行した. PMCを20カ月施行したところで,腫瘍の増大に伴い直腸RaRbでの腸管狭窄が高度となり,排便障害改善の目的から平成13年10月に開腹術施行.腹膜転移巣と直腸は合併切除可能であり低位前方切除術を施行した. PMCは腹膜再発に対し長期のno change (NC)を得ることができ,人工肛門を回避した根治切除を可能とした.また経過中に有害反応は認められず,再発大腸癌に対してPMCは有効であると考えられた.

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