日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸癌術後に発症した化膿性椎間板炎の1例
片桐 敏雄島田 長人岡本 康介野崎 達夫金子 弘真柴 忠明
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2002 年 63 巻 8 号 p. 2050-2053

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抄録
S状結腸癌術後に発症した稀な合併症と考えられる化膿性椎間板炎の1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.下血を主訴に来院し,諸検査にてS状結腸癌と診断. S状結腸切除術を施行した.術後第4病日から38°C~40°C台の発熱が持続し,第12病日から体動時の腰痛を認め感覚障害も伴い徐々に歩行困難が出現した.その間,各種検査を施行したが発熱の原因は確定できず腰椎単純X線検査においても異常所見はなかった.第20病日,腰椎MRIを施行したところL5/S1の椎間板に変性を認め,シンチグラフィーにて同部位の異常集積像があり,化膿性椎間板炎と診断した.保存的治療にて軽快し退院となった.第60病日の単純X線検査では椎間腔の狭小化および椎体の不整像が出現していた.術後に発熱,腰痛を伴う際は本症を念頭に置き,単純X線検査のみでは早期診断が困難なことからMRIなどの積極的な検査が必要である.
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