日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
褥瘡手術としてのpatch graftの3例
村元 雅之林 周作山岸 庸太品川 直哉竹山 廣光真辺 忠夫
著者情報
キーワード: 褥瘡, 手術
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 1 号 p. 226-229

詳細
抄録

創傷治癒学の進歩,創傷被覆材の開発により褥瘡は保存的に治癒可能な疾患となってきたが,その治療には多大な時間と労力を要する.治療期間を短縮するために手術が行われる場合があるが,形成外科的手技を必要とするため一般外科医は不慣れで敬遠しがちである.今回われわれは難治性の仙骨部褥瘡に対しpatch graftを3例に行い良好な経過が得られたので報告する.
本法は分層植皮法の1つで,小さな植皮片を貼り付けて縫合固定しない方法である.侵襲が少なく局所麻酔で簡便に施行でき生着率も良く,感染など母床の条件の悪い時に適用される.しかも母床には手術侵襲を加えなくて済み,たとえ植皮片が生着しなくても褥瘡を悪化させることがない.手術手技は,創の洗浄と滅菌歯ブラシによるdebridement,およびgraftの採取と創への貼り付けのみである.本法は単純容易であり良好な結果が期待でき,褥瘡の外科的治療の1つとして推奨できる.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事
feedback
Top