日本臨床外科学会雑誌
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Meckel憩室軸捻転による腸閉塞の1例 -CTスキャンの診断的意義について-
金武 和人日野 晃紹
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キーワード: Meckel憩室, 軸捻転
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2003 年 64 巻 10 号 p. 2478-2481

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抄録

Meckel憩室の軸捻転により腸閉塞をきたした1例を経験した.症例は23歳,男性.小児期より下腹部痛をしばしば自覚し,近医で保存的に加療を受けていた.今回,増悪する下腹部痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.体温37.8℃.腹部は膨満し板状硬で,下腹部やや左側よりを中心とする著明な圧痛とBlumberg徴候を認めた.腹部CTでは多発する拡張した小腸の腸液充満像と,回腸末端部の虚脱像の両者を認めた.腹腔内遊離ガス像はなし. WBC 15,400/μl, CRP 0.1mg/dl.画像所見から回腸に閉塞部を持つ腸閉塞による腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.開腹すると回盲部より約70cmの回腸に約7cm大の嚢状のMeckel憩室があり,口側では炎症性癒着による索状物で回腸が狭窄し,この上に憩室が約180度捻転し乗りかかっていたため腸閉塞をきたしていた,憩室を含めた小腸切除を行った.腹部CTがMeckel憩室の診断に有用であると考えられた.

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