日本臨床外科学会雑誌
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)・特発性間質性肺炎(IIP)を合併した胃癌の1手術例
坂本 渉関川 浩司大木 進司小山 善久井上 典夫竹之下 誠一
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キーワード: 胃癌
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2003 年 64 巻 11 号 p. 2754-2758

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抄録

症例は77歳,男性.平成8年よりITPにて当院内科通院し,血小板数は10万前後で内服などなしであった.平成12年よりIIPにて当院呼吸器科通院,プレドニン5 mg/day内服にてコントロールは良好であった.平成14年10月貧血精査のため,内視鏡施行し,幽門部,後壁のIIa胃癌の診断.精査の後手術となった. ITPの急性増悪の既往があることから,術前に免疫グロブリン大量療法施行.手術は幽門側胃切除術+D2+脾摘を施行し出血量は250mlであった.術後血小板数は順調に回復.呼吸に関しては,プレドニン内服開始までメチルプレドニゾロン20mg/day投与し急性増悪はみられなかった.
ITP合併胃癌の本邦症例報告はわれわれが調べる限りで20例, IIPと胃癌の合併は4例,両者同時合併の症例報告は本邦では初である.重篤な合併症をきたしうる疾患であり,その管理に当たって,過去の経過も十分に把握し, IgG大量療法など,適切な治療が肝要である.

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