日本臨床外科学会雑誌
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腸閉塞を契機に発見された高齢者Crohn病の1例
上林 洋二長谷部 行健小池 淳一西田 祥二永澤 康滋大谷 忠久
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キーワード: 高齢者, Crohn病, 結腸切除術
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2003 年 64 巻 11 号 p. 2812-2815

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抄録

腸閉塞を契機に発見された高齢者Crohn病の1例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.腹痛,下痢を主訴に外来受診,腸閉塞の診断にて入院となった.入院後イレウス管を挿入し減圧療法を開始するも改善傾向がみられず,大腸内視鏡にて横行結腸に広範囲にわたる全周性狭窄を認めたため手術を施行した.開腹所見では,横行結腸肝曲部から下行結腸脾曲部近くまでの狭窄を認めた.小腸に異常所見は認めなかった.狭窄部結腸を切除するため拡大右半結腸切除を施行した.肉眼所見では漿膜は肥厚し,粘膜に縦走潰瘍を認めた.病理所見では粘膜下層に達する潰瘍を認め,一部非乾酪性類上皮肉芽腫細胞を認め, Crohn病と診断した.高齢者に発症するCrohn病は比較的稀な疾患であるので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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