日本臨床外科学会雑誌
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結腸gastrointestinal stromal tumorの1例
二村 直樹松友 将純安村 幹央立山 健一郎多羅尾 信阪本 研一
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キーワード: 結腸
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2003 年 64 巻 12 号 p. 3105-3108

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抄録

Gastrointestinal stromal tumor (GIST)において結腸の発生は稀である.われわれは結腸GISTの1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.腹部膨満感,下痢を主訴に当院を受診した.大腸内視鏡検査で下行結腸に粘膜下腫瘍様の隆起を認めた. CT検査で下行結腸に約9cm大の腫瘤,胸水,腹水,左腎腫瘍を認めた.入院後,右下腹部痛が出現し,腹膜刺激症状を認めるようになったために緊急手術を行った.手術所見では,混濁した腹水,結腸脾彎曲部に脾臓と癒着した径約10cm大の腫瘤,盲腸の穿孔を認めた.回腸の一部から下行結腸の一部までを切除し,回腸で人工肛門を造設した.摘出標本では,大腸粘膜面に潰瘍を形成し,壁外性に発育した腫瘤を認め,盲腸穿孔を合併していた.病理組織検査では紡錘形細胞が増殖しており,免疫染色ではsmooth muscle actin, desmin, S-100蛋白, NSE, CD34, c-kitが陰性で, vimentinが陽性であった.

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