日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢癌t2切除症例におけるss進展様式と予後の検討
水本 雅己久森 重夫柳田 敦子前田 浩晶浅生 義人古山 裕章加藤 恭郎粟根 雅章吉村 玄浩西村 理中村 義徳松末 智
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2003 年 64 巻 5 号 p. 1071-1077

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抄録

t2胆嚢癌切除症例を対象に漿膜下進展様式を中心に臨床病理学的所見を評価し,予後予知因子,再発様式を検討した.漿膜下進展様式は漿膜下腫瘍深達度(ss 1, 2, 3),腫瘍浸潤増殖様式(INFα, β, γ)およびこの2つの組み合わせ(ssINF-A, -B, -C)で評価した.結果,リンパ節転移(n), ss, INFはそれぞれ単独で予後予知因子となり得たがssINFはこれらよりさらに有効な予後予知因子であった.再発症例を検討した結果,拡大胆摘後に症例が肝転移再発死しており,肝床側にssINF-B, -Cに浸潤する症例ではS4, S5切除を含めた拡大胆摘術が必要であると考えられた.胆嚢頸部に腫瘍の進展を認めた症例のうち3症例に再発死亡を認めた.このうち肝門部胆管狭窄にて再発した2症例はssINF-A, -Bでリンパ節郭清時に胆管切除は行われていなかった.残る1症例は胆管切除を含めた拡大胆摘術が施行されており,肺転移再発した.これらの結果から胆嚢頸部に腫瘍が進展する症例に対してはリンパ節郭清時に胆管切除が必要であると考えられた.

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