1967年から2001年6月までに当科で経験した22例の男性乳癌について,臨床病理学的検討を行い,その臨床像について検討した.さらに年代ごとの変遷についても検討した.臨床像としては,全乳癌に占める割合は低率で(0.53%),高齢者に多く(平均年齢63.7±12歳),占拠部位は乳頭輪近傍であった.組織型では充実腺管癌が最も多く,ついで硬癌が多くみられた.組織学的リンパ節転移は45.5%にみられた.ホルモンレセプターの陽性率は高く,そのため内分泌療法が有用と思われた.予後は全体でみると,女性例に比して不良であった.年代ごとにみると,診断能の向上や知識の普及から,早期例の割合が多くなり,女性例同様,主として胸筋温存乳房切除術が行われるようになってきた.