日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
非反回下喉頭神経の3例
頸部超音波検査の有用性
野村 長久山川 卓
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 7 号 p. 1579-1583

詳細
抄録

非反回下喉頭神経(NRILN: Non-recurrent inferior laryngeal nerve)の3例を経験したので報告する.症例1は53歳,女性.右頸部腫瘤の増大のため手術施行.術中にNRILNと診断.最終病理診断は腺腫様甲状腺腫.術後食道透視および縦隔造影CTにて右鎖骨下動脈起始異常を確認.症例2は43歳,女性.甲状腺乳頭癌にて手術施行.術中にNRILNと診断.症例1同様,食道透視,縦隔造影CTにて右鎖骨下動脈起始異常を確認.症例3は28歳,女性.甲状腺機能亢進症にて手術施行.術前に頸部超音波を施行し総頸動脈と右鎮骨下動脈の合流を認めずNRILNと診断し,術中もNRILNを確認した. NRILNの頻度は0.3~2.2%と報告されており,当科の頻度は1.3% (3/230)であった. NRILNの診断にはCT,食道透視などがあるが,コスト,侵襲性,簡便性において頸部超音波が最も有用と考えれられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top