日本臨床外科学会雑誌
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胃多発性GISTの1例
濱口 真帆小林 俊三田中 宏紀江口 武史木村 昌弘杉浦 正彦
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キーワード: 胃GIST, 多発性
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2003 年 64 巻 7 号 p. 1637-1640

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抄録
症例は70歳,女性.平成9年5月動悸を主訴に近医を受診,貧血を指摘され当院紹介となる.上部消化管内視鏡にて4個(直径2-9cm)の胃粘膜下腫瘍を認めた.胃体上部直径2.5cmの腫瘍を部分切除し,その他の腫瘍に対し幽門側胃切除を施行した.病理組織学的検査では,紡錘型の腫瘍細胞が索状配列を呈し,核異型,核分裂は軽度で,免疫組織学的検査では, c-kit, CD34染色陽性, SMA, desmin, S-100蛋白, neurofilament陰性であった.各腫瘍はみな同一組織像, c-kit染色陽性像であり,胃多発性GIST, borderline malignancyと診断した.
われわれが検索しえた限り多発性GIST症例は5例であり,稀な症例であるといえる.術後約5年経過し,現在まで再発は認めていないが, malignat potentialを有するものと考え今後も厳重な経過観察が必要と考えられた.
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