日本臨床外科学会雑誌
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精神発達遅滞者に発症したS状結腸軸捻転症の1例
金武 和人日野 晃紹白橋 幸洋岩田 尚
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2705-2709

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抄録

症例は53歳,男性.精神発達遅滞のため知的障害者施設で生活していた. 2日前よりの食欲不振と嘔吐,腹痛で救急外来を受診した.腹部は全体が著明に膨隆・緊満し,圧痛あり.腹部単純X線写真でcoffee beans signを認め,腹部CTスキャンではS状結腸の著明なガス像によるChilaiditi症候群の像を呈していた. S状結腸軸捻転症と診断し,消化管内視鏡による非観血的整復術を施行.捻転は解除されたが絞扼されていたS状結腸がすでに壊死に陥っていたため緊急手術でHaltmann手術を行った.術後75日目に人工肛門切除と下行結腸直腸吻合術を行い施設に戻った. S状結腸軸捻転症は精神発達遅滞者に好発するとされるが,診断や治療方針,術式の選択は,症例ごとに違う障害の程度を考慮して行う必要があると考えられた.

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