日本臨床外科学会雑誌
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活動性肺結核の加療中に発症した腸結核イレウスの1例
酒井 光昭五本木 武志福澤 淳也久倉 勝治飯田 浩行折居 和雄
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キーワード: 腸結核, 肺結核, イレウス
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2004 年 65 巻 3 号 p. 704-707

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抄録

症例は45歳の東南アジア系外国人女性. 1カ月持続する咳嗽を主訴に近医受診,ガフキー2号の肺結核と診断され当院に紹介入院した.抗結核薬による治療開始9日目に腹膜刺激症状を伴う右下腹部痛と腹部膨満が出現した.画像所見で回腸から上行結腸までの腸管壁の肥厚と回腸の狭窄,中等量の腹水を認めた.絞扼性イレウスを否定できず緊急手術を施行した.開腹所見では回腸から上行結腸にかけて8カ所の全周性瘢痕狭窄と混濁腹水を認めた.そのうち狭窄の強い1カ所でイレウスをきたしていた.狭窄の強い3病変に対する回腸部分切除術と腹腔洗浄ドレナージを施行した.摘出標本の肉眼所見では多発性輪状潰瘍を認め,病理組織学的にラングハンス巨細胞と乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫を認めた.肉芽腫内に抗酸菌を認め腸結核と診断した.肺結核加療中においても腸結核によるイレウスを急性に発症する可能性があることを念頭におくべきと思われた.

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