日本臨床外科学会雑誌
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結腸癌術後に生じた咽後膿瘍を合併した頸椎化膿性脊椎炎の1例
秋山 有史大塚 幸喜樋口 太郎舩渡 治旭 博史斎藤 和好
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2004 年 65 巻 3 号 p. 828-832

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抄録

症例は54歳,男性.平成15年3月18日,他院にてS状結腸癌に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.術後経過は良好であったが, 2週間後に腹痛が出現したために注腸造影および大腸ファイバー検査を施行し,吻合部とは異なった部位に憩室と狭窄を認めた.大腸憩室炎による大腸狭窄の診断にて当科紹介入院となったが, 4月25日に39℃台の発熱にひき続いて左頸部・肩関節痛が出現したため,頸部MRI検査を施行して第3-4頸椎の化膿性脊椎炎および咽後膿瘍の診断を得た.抗生剤投与するも,両上肢しびれ・脱力感および背部痛が増強したため,減圧手術(病巣掻爬および前方除圧固定術)を施行した.掻爬組織からはS. aureusが分離された.消化器癌術後などの免疫能低下症例において感染症状を伴う頸部痛や背部痛が出現した場合には,化膿性脊椎炎の可能性をも念頭に置く必要があると思われた.

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