2004 年 65 巻 7 号 p. 1809-1812
きわめて稀な食道glomus腫瘍を経験したので報告する.症例は45歳の男性で約10年前より他院で血液透析中であった.嚥下に際して食道に物がつかえる感じがすると訴え,透析中の医院より紹介され来院した.内視鏡検査で食道下部に粘膜下腫瘍がみられたが通過障害はなく経過観察としていた.約1年後の検査で腫瘍がやや増大しており,また患者の希望もあり2001年10月23日手術を施行した.
左開胸下に手術を施行したが,腫瘍は限局性で食道外側よりの核出術が可能であった.病理組織学的および免疫組織学的にglomus腫瘍と診断したが,悪性所見はなかった. Glomus腫瘍は消化管では稀であり,その報告のほとんどが胃症例である.食道症例は本邦では報告がなく外国文献でも1967年のRueffらの症例以後に5例だけしか報告されておらず,きわめて稀な疾患である.