日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸間膜内ヘルニアの1例
名知 祥日野 晃紹岩田 尚関野 考史
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2005 年 66 巻 11 号 p. 2807-2811

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抄録

症例は62歳の男性. 2004年3月17日より突然腹痛が出現し, 3月18日に近医を受診した.内服薬の処方を受けたが症状軽快せず,また腹部X線でイレウスと診断されたため, 3月23日に当院を紹介受診し入院となった.入院後,イレウス管を留置し保存的療法を行ったが症状の軽快を認めず,イレウス管からの小腸造影検査では左下腹部に先細り状の小腸閉塞を認めた.このため何らかの内ヘルニアによるイレウスと診断し, 4月12日に開腹手術を施行した.手術所見ではS状結腸間膜右葉に径2.5cm大の欠損を認め,回盲部から約200cm口側の小腸が約10cm嵌入していた.嵌入した小腸を用手的に整復して内ヘルニアを解除し,S状結腸間膜の欠損部を縫合閉鎖して手術を終了した.術後経過は良好で術後11日目に退院した. S状結腸間膜内ヘルニアは稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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