日本臨床外科学会雑誌
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壁外性に発育した成人回腸異所性膵の1例
本間 直健鈴木 康弘高橋 基夫狭間 一明蔵前 太郎松村 祥幸
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2005 年 66 巻 12 号 p. 3049-3052

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抄録

異所性膵は粘膜下腫瘤の形態をとることが多いが,壁外性に発育することは稀である.今回われわれは壁外性に発育した成人回腸異所性膵の1例を経験したので報告する.症例は59歳,男性.主訴は上腹部痛,嘔吐であった.腹部単純写真にて小腸ガスおよびニポーを認め,イレウスの診断で入院となった.保存的治療で軽快したが,原因検索を目的とした血管造影にて回腸末端枝の偏位を認め,腸捻転あるいは内ヘルニアによるイレウスの可能性が示唆された.試験開腹手術を施行したところ,回腸末端から150cm口側で回腸腸間膜対側に壁外性に突出する約2.5cmの腫瘤を認め,また,腫瘤口側の腸管拡張がみられた.同腫瘤を含む回腸部分切除,端々吻合術を施行した.病理組織所見にて腫瘤は粘膜下層に主座をおき,壁外性に発育した異所性膵 (Heinrich I型)と診断された.術後経過良好で,その後約1年経過し,再発徴候は認められていない.

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