日本臨床外科学会雑誌
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経肛門的イレウス管が消化管内瘻を通して留置された2例
森 隆太郎三浦 勝高橋 徹也小尾 芳郎山中 研阿部 哲夫
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2005 年 66 巻 2 号 p. 437-441

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抄録

閉塞性左側大腸癌に対する経肛門的イレウス管が消化管内瘻に留置された2例を経験したので報告する.症例1は69歳男性.直腸癌イレウスに対して経肛門的イレウス管を挿入した.小腸ガス消失までに時間を要し,挿入後11日目に手術を施行した.腫瘍は空腸に癒着し瘻孔を形成しており,直腸から瘻孔を介して空腸内にイレウス管が挿入されていた.症例2は74歳男性. S状結腸癌によるイレウスに対して経肛門的イレウス管を挿入した.入院時著明な炎症所見を認めたが,徐々に改善し,挿入後8日目に手術を施行した. S状結腸の腫瘍は直腸S状部と口側S状結腸に浸潤し,直腸結腸瘻を形成していた.腸閉塞をきたす進行大腸癌は周囲臓器に癒着,浸潤し,瘻孔形成していることもあり,経肛門的イレウス管挿入の際には十分な注意をはらうとともに,挿入後も注意深い観察が必要であると考えられた.

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