2005 年 66 巻 6 号 p. 1247-1251
目的:根治切除を行ったstage II, III大腸癌の再発症例を解析し,再発時期と再発後の生存に関連する因子について検討した.
方法: 1991年1月から1996年12月までの間に当科で根治切除を行った470例を対象とした.この内,再発した96例を初回手術時の病理学的因子と再発時期で解析し,再発時期を予測する因子と再発後の生存期間に影響する因子について検討した.
結果:再発時期の中央値は初回手術後17.7カ月であった.初回手術後2年以内の肝再発は68.9%, 局所再発は58.8%, 肺再発は25.0%であった.単変量解析では,初回手術時の組織型(高分化腺癌以外),リンパ節転移あり,初回手術後18カ月以内の再発, stage III, 高リンパ管侵襲が予後不良因子であった.さらに,高リンパ管侵襲のみが多変量解析でも予後不良因子であった.
結論:初回手術後2年以内は特に肝,局所再発に注意が必要であった.さらに,再発した場合はリンパ管侵襲を確認し,低リンパ管侵襲であった場合は手術を含めた積極的な治療の効果が得られると考えられた.