日本臨床外科学会雑誌
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血性乳頭分泌を伴った乳腺adenomyoepitheliomaの1例
原内 大作宇山 攻島田 良昭田島 幸一
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2005 年 66 巻 6 号 p. 1256-1259

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抄録

症例は22歳,女性で,右血性乳頭分泌を主訴に来院.右B領域に15mm程度の境界不明瞭な硬結を触れたが,超音波検査とマンモグラフィ検査では腫瘤を同定できなかった.乳管造影で乳管の途絶と多発性の陰影欠損が確認できたので,乳管内乳頭腫症を疑って乳管小葉区域切除術を行った.病理組織検査で乳管上皮細胞と筋上皮細胞の増殖がみられ,免疫染色で乳管上皮細胞に対してEMAが陽性,筋上皮細胞に対してα-SMAが陽性のためadenomyoepitheliomaと診断した.本疾患は基本的には良性と考えられているが,局所再発や遠隔転移の報告もある.稀な疾患のため未解明な点が多いが,本症例は血性乳頭分泌が主訴であったために乳管造影を行うことができ,乳管内に進展する多発性病変を描出できた.組織学的に良性であっても,治療は乳管内進展を考慮して行う必要があることが示唆された.

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