日本臨床外科学会雑誌
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腹腔内結核性リンパ節炎を合併した胆嚢癌の1例
西田 尚弘柴田 邦隆富永 修盛立石 秀郎小林 哲郎
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2005 年 66 巻 6 号 p. 1428-1432

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抄録

症例は64歳,女性.平成14年10月右季肋部の違和感を主訴に来院,初診時右鎖骨上窩リンパ節腫脹を認め,血液検査でCA 19-9が3,280U/mlと異常高値を示した.画像診断では肝門部リンパ節腫脹がみられ,経過中に肝門部リンパ節の総胆管圧迫によると思われる閉塞性黄疸が出現した.胆道系悪性腫瘍を疑ったが,画像上胆嚢粘膜に異常は発見できなかった.また胆石が確認された.右鎖骨上窩リンパ節生検を施行,類上皮肉芽腫の組織像を得た.開腹下リンパ節生検ならびに胆嚢摘出を行い,病理組織学的に総肝動脈幹より採取したリンパ節は類上皮肉芽腫,胆嚢は高分化型線癌であった.当初結核菌陰性であったが,生検リンパ節の8週目の培養で結核菌陽性となり,結核性リンパ節炎を伴った胆嚢癌であったと判明した.結核性リンパ節炎の合併が胆嚢癌の術前診断を困難にした臨床的に稀な1例を経過したので文献的考察を含めて報告する.

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