日本臨床外科学会雑誌
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早期胆嚢扁平上皮癌の1例
平沼 知加志山村 浩然橋爪 泰夫小林 雅子
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キーワード: 胆嚢癌, 扁平上皮癌
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2005 年 66 巻 6 号 p. 1444-1447

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抄録

極めて稀な早期胆嚢扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳男性.平成15年9月に胆石症と診断されていたが,平成16年4月上旬より時折右季肋部に鈍痛を自覚するため当院受診.腹部超音波検査, CT検査で胆嚢腫大,胆石および胆嚢壁の一部肥厚を認め胆石症,慢性胆嚢炎と診断し胆嚢摘出術を施行した.胆嚢壁の一部に結節部位を認めたため,術中迅速病理検査を行ったところ,異型性のある扁平上皮を認めた.結節部位は肝床と接しておらず,追加切除は施行しなかった.病理組織学的検査では,慢性胆嚢炎を背景とした7×4×1mmの部位のみに浸潤様増殖を示す異型重層扁平上皮が認められ,早期扁平上皮癌と診断した.周囲には化生性変化を認めなかった.胆嚢扁平上皮癌の成因は解明されていないが,発生メカニズム等の解明のため貴重な症例と考えられた.

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