日本臨床外科学会雑誌
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膵lipomatous pseudohypertrophyの1例
田中 顕一郎深田 伸二川端 康次藤城 健平松 聖史長坂 徹郎
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2005 年 66 巻 6 号 p. 1452-1456

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抄録

症例は69歳の男性,糖尿病教育入院中胃癌を発見され,当科にて胃切除術を施行した.術中,膵体尾部付近の後腹膜から腹腔内へ増大する黄色調の腫瘤状脂肪組織を認めたため,脂肪肉腫を疑い,腫瘤切除も行うことにした.膵体部と腫瘤との境界が不明瞭であったため脾温存膵体尾部合併切除を行った.腫瘤は22×17.5×5cm大で重さは2kg,薄い被膜に包まれ膵と一塊になっていた.割面では腫瘤は脂肪様組織からなり,膵体部は実質が脂肪様組織に置換されていた.病理組織所見では脂肪組織の中に萎縮した膵組織とランゲルハンス島の残存を認めた.腫瘍性変化は認められず病理学的には膵lipomatous pseudohypertrophyの診断であった.膵lipomatous pseudohypertrophyは非常に稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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