日本臨床外科学会雑誌
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用手還納後に鼠径法により待機手術を行った閉鎖孔ヘルニアの2例
山本 秀和加藤 滋肥田 侯矢清水 謙司小西 靖彦武田 惇
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2005 年 66 巻 6 号 p. 1485-1488

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抄録
閉鎖孔ヘルニアは,以前は術前診断が困難であり,致命率も高い疾患であった.近年においてはCTの発達により診断は容易となったものの,治療は緊急開腹術が行われているのが現状である.今回われわれは用手的に閉鎖孔ヘルニアの還納を試みて成功し,鼠径法で待機手術を行い得た2例を経験したので報告する.症例は81歳と78歳の女性.いずれも大腿内側に放散する突然の腹痛で同日受診, CTにより閉鎖孔ヘルニアと診断した.還納を試みるため鼠径靱帯下部において大腿動脈をまず同定し,そのやや内側を頭側に向かって軽く圧迫したところ,容易に還納できた.後日待機的に鼠径部よりアプローチしてメッシュを用いて根治術を行った. 2例ともに両側の手術を行ったが,手術時間は短時間であった.閉鎖孔ヘルニアに対する治療として,用手的還納とメッシュを用いた両側の鼠径法による待機手術が最も低侵襲治療であると思われた.
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