2005 年 66 巻 9 号 p. 2311-2314
症例は47歳の女性.左上腹部腫瘤を主訴として当院を受診した.腹部CT検査, MRI検査,超音波検査で,下行結腸を前方に圧排する直径約10cmの嚢胞性腫瘤が左腎の尾側に接するように認められた.嚢胞性の腫瘍を疑い,手術を施行した.開腹所見では黄白色の被膜を有する直径12×9×10cmの嚢胞性腫瘍が後腹膜から発生していた.腫瘍内容は黄色で,漿液性の液体であった.病理組織学的所見では,腫瘍内腔に上皮細胞は存在せず,膠原組織のみで仮性後腹膜嚢胞と診断した.本疾患は比較的稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.